札幌の雪まつりが終わる日に
久しぶりの家に戻る
毎年
わたしの職場や
おとうさんの会社で働く方々に
チョコを手作りして
配っていて
おとうさんにも
"ついで"を口実に
渡していた
あちこちから
もらっているのに
満面の笑顔で
喜んでくれる
勿体ないからって
冷凍室に入れて
少しずつ
こっそりと食べてる
そんな様子が
おかしくて
うれしくて
どうしても
今年も
もう一度
作りたくて
渡したくて
かなでに手伝ってもらうからと
ドクターに
半ばごり押しで
許可をもらった
車椅子だったけど
スーパーマーケットで
材料探しをするのは
楽しい
いちごを手にした
お腹の大きい
かなでの姿を見て思う
ただ
毎日毎日
"今日は何を食べよう"とか
"このお野菜は旬だなぁ"とか
"少しくたびれた果物を
ジャムにしよう"とか
そうやって
生きていけたらって
無いものねだりを
するあたり
のらねこになりたいわたしも
ヒトなんだなぁって思う
おウチでは
ベリーが車椅子に警戒しながらも
わたしのひざに乗り
丸くなるところを探る
以前より
骨々しくなった太腿は
身を預けるには
心地悪いようで
それでも収まろうとする
この子が愛おしかった
お鍋を用意して
粉ふるいを用意して
アーモンドを細かく砕いて
作業しながら
かなでと
何でもない会話をしながら
出来上がったトリュフを
3つずつ20人分を
ラッピングした
いつも以上に
早く帰って来たおとうさんに
ふたりで選んだ
トリュフを渡す
いつも通りに
笑ってくれると思ってたのに
くしゃくしゃな顔して
泣きながら
笑おうとするから
わたしも
かなでも
もらい泣きしてしまった
味見したトリュフが
口の中に残っていたのか
涙が塩辛く感じる
わがままな娘で
ごめんね