あなたの中のあなた

デブラ・フレイジャーさんの

「あなたがうまれたひ」という絵本を

近所の本屋さんで見つけたのは

14歳の秋だった

 

その頃のわたしといえば

 

"いい子ぶった変わり者"と

 

聞こえるように

嫌味を言われるほど

周りと馴染まない子だった

 

クラスの中で形成される

ガールズ・コミュニティの

どこにも属さないし

 

嫌がらせを受けても

すましていたから

余計に気持ちを

逆なでしたのかもしれない

 

母親にさえ

疎まれるんだから

 

他人なら

なおのことだって

妙に納得していた

 

わたしはただ

 

まるで"規則"のように

 

おもしろくなくても

笑って

行きたくないのに

出かけ

嫌いじゃないのに

避ける

 

"なかよし"という

まるで軍隊みたいな

仲間意識に縛られたくなかった

 

その反面

周りのヒトを

不快にし

"普通"に合わせられない

 

そんな自分が

ひどく欠陥だらけで

いびつに感じ

 

ある意味

わたしを疎み

嫌うヒト達以上に

 

わたしは

わたし自身が嫌いだった

 

絵本をめくる指が止まる

 

"太陽も月も地球も人びともみんな

あなたが生まれるのを待っていた"

 

本当なのだろうか?

 

絵本の代金を払い

本屋さんを出たわたしは

モヤモヤしながら

帰宅した

 

着替えて

ピアノの部屋に行くと

おばあちゃまがソファに座っていて

 

横に座るように促す

 

そして

「なにがあったのか聞かせて」と

静かにおっしゃる

 

頭の中で巡る"モヤモヤ"を

堰を切ったように

打ち明けた

 

そして

いっぱい

泣いた

 

それから

ゆっくりと

こうおっしゃった

 

「70億以上のヒトが住むこの星で

   みおが出会えるヒトは

   きっと1万人くらいで

 

   そのうちの

   顔見知りが

   1割もいないくらいで

 

   知り合いは

   更に少なくって…

 

   そう考えたら

   一体どのくらいのヒトが

   本当に"なかよし"だと思う?」

 

『わからない』

そう答えると

 

「あなたは正しく答えました

 この先のあなたが

 どう生きたかによって

 出会えるヒトは変わるのだから」

 

「そして

   その時のあなたが

   心地良く思い

   その時のあなたを

   快く思うヒト達は

   出会う前の"あなた"さえ

   きっと

   受け入れてくれる」

 

「この絵本の

 

   "太陽も月も地球も人びともみんな

    あなたが生まれるのを待っていた"は

 

 そんな友達が

    "あなた"の存在について

    思う気持ちではないのかしら」

 

 「あなたはあなたのまま

     正直に生きていいのですよ」

 

ココロの"モヤモヤ"は

その言葉で涙に溶けだし

流れていった

 

"昔の自分を嫌いだ"と言う

あの子に伝えたい

 

あなたを大好きになったわたしは

今のあなたを形作る

昔のあなたのコトも

大好きなんだというコト

 

今まで生きてきて

この先も生きていく

 

あなたを

誇りに思っているコト