夢を見たんだ
手作りした夕食を
仲良しになってくれたヒト達と囲んで
おしゃべりしながら
おいしいねって
食べてる
それから
手放してしまったはずの
グランドピアノを
弾いて
ヴァイオリンや
ギターや
ウクレレの音を合わせたり
歌を歌ったり
お揃いの
ジュエリーや
お洋服を着たり
絵を観たり
描いたり
お気に入りの
お茶をしたり
大切な本や映画について
話したり
楽しい夢だった
目を覚ますと
窓に当たる雨粒の
空の鈍色を
一層滲ませた様子が
現実と真実に
わたしを引き戻す
もう充分泣いた
もう泣きたくないな
でもさ
人前で
特に
おとうさんの前では
絶対泣きたくないから
ひとりの時は
泣いてもいいよね?
今日は午後から
おとうさんが来て
髪を洗ってくれる
2日に1度は
ナースさんが
身体を拭いてくれる
回診のドクターには
意地悪を言う
泣かないわたしは
きっと
みんなの中のわたしだもの
最後まで
つよがりで
意地っ張りな
わたしでいたいから
ほんの少しだけだから
泣いていいよね?